かつてアウディは、開発中のクワトロが冬のオーストリアの山道で、なんと夏タイヤのまま後輪駆動のセダンをすべて置き去りにしたという逸話をよく話していました!「Vorsprung durch Technik」(技術による進歩)という有名なアウディのスローガンは、アウディ・クワトロの登場でこれほどまでに具体的に実現されたことはなかったでしょう。この画期的なフルタイム4輪駆動システムは、自動車製造史上初めて量産車に搭載されたものの一つなのです。
クワトロの4輪駆動が威力を発揮したのは、雪山だけではありませんでした。どんな路面でも、安全性が高く、そして何より速かったのです。
この伝説的なスポーツクーペには、特徴的な5気筒エンジンの力強いサウンド、1982年以降インテリアに搭載されたデジタルディスプレイによる未来感溢れるデザイン、そして目を引くツインヘッドライトを持つ角ばったボディデザインなど、数々の特徴がありました。クワトロに乗っていれば、間違いなく注目される存在だったのです。さらに、WRCモンテカルロラリーでのヴァルター・ロールの優勝 (1984年) や、パイクスピーク・ヒルクライムでの記録更新 (1987年) など、スポーティな万能マシンの栄光は、レーシングの世界でも輝きを放ちました。
1980年のジュネーブモーターショーで初披露されてから40年、ついにアウディ・クワトロのすべてがわかる公式本が誕生しました! ブランドに詳しいジャーナリストであるディルク・ミハエル・コンラート氏によって執筆されたこの400ページの豪華本は、プロトタイプから最終モデルまでのウルクワトロの完全な歴史を網羅しており、技術データや生産台数なども掲載されています。さらに、これまで一般公開されていなかったアウディの社内アーカイブからの写真も多数収録されています。